はんしちとりものちょう 29 くまのしがい
半七捕物帳 29 熊の死骸

冒頭文

一 神信心という話の出たときに、半七老人は云った。 「むかしの岡っ引などというものは、みんな神まいりや仏まいりをしたものです。上(かみ)の御用とはいいながら、大勢の人間に縄をかけては後生(ごしょう)が思われる。それで少しでも暇があれば、神仏へ参詣する。勿論それに相違ないのですが、二つにはそれもやっぱり商売の種で、何かのことを聞き出すために、諸人の寄りあつまる所へ努めて顔出しをしていたの

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(三)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年5月20日