はんしちとりものちょう 24 こじょろうぎつね
半七捕物帳 24 小女郎狐

冒頭文

一 なにかのことから大岡政談の話が出たときに、半七老人は云った。 「江戸時代には定まった刑法がなかったように考えている人もあるようですが、それは間違いですよ。いくら其の時代だからといって、芝居や講釈でする大岡捌(さば)きのように、なんでも裁判官の手心(てごころ)ひとつで決められてしまっちゃあ堪まりません。勿論、多少は係りの奉行の手心もありますけれども、奉行所には一定の目安書(めやすがき

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(二)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年3月20日