——きちがひの女の兒に惚れられた話をしませう。 と詩人西原北春氏はこの詩人得意の「水花踊」などまだ始まらぬまだほんのほの〴〵と酒の醉ひがまはりかけたばかりのところで——あれが始まるころはまつたく泥醉状態になつた西原氏なので——話し始めた。 支那の李太白らが醉つて名詩を作つたといふのはどれほどの醉ひに達したときか知りませんが、わが國の大詩人西原北春氏にありては、今北春氏が