はんしちとりものちょう 56 ふぐだいこ
半七捕物帳 56 河豚太鼓

冒頭文

一 種痘の話が出たときに、半七老人はこんなことをいった。 「今じゃあ種痘(しゅとう)と云いますが、江戸時代から明治の初年まではみんな植疱瘡(うえぼうそう)と云っていました。その癖が付いていて、わたくしのような昔者(むかしもの)は今でも植疱瘡と云っていますよ。こんな事はあなた方がよく御存じでしょうから、詳しくは申し上げませんが、日本の植疱瘡はなんでも文政頃から始まったとか云うことで、弘化

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(五)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年10月20日