はんしちとりものちょう 13 べんてんむすめ
半七捕物帳 13 弁天娘

冒頭文

一 安政と年号のあらたまった年の三月十八日であった。半七はこれから午飯(ひるめし)を食って、浅草の三社(さんじゃ)祭りを見物に出かけようかと思っているところへ、三十五六の男がたずねて来た。かれは神田の明神下の山城屋という質屋の番頭で、利兵衛という白鼠(しろねずみ)であることを半七はかねて知っていた。 「なんだかお天気がはっきりしないので困ります。折角の三社様もきのうの宵宮(よみや)

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(一)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1985(昭和60)年11月20日