まつえいんしょうき
松江印象記

冒頭文

一 松江へ来て、まず自分の心をひいたものは、この市(まち)を縦横(じゅうおう)に貫いている川の水とその川の上に架(か)けられた多くの木造の橋とであった。河流の多い都市はひとり松江のみではない。しかし、そういう都市の水は、自分の知っている限りでたいていはそこに架けられた橋梁(きょうりょう)によって少からず、その美しさを殺(そ)がれていた。なぜといえば、その都市の人々は必ずその川の流れに第三流の

文字遣い

新字新仮名

初出

「松陽新報」1915(大正4)年8月

底本

  • 羅生門・鼻・芋粥
  • 角川文庫、角川書店
  • 1950(昭和25)年10月20日