はんしちとりものちょう 11 あさがおやしき
半七捕物帳 11 朝顔屋敷

冒頭文

一 「安政三年……十一月の十六日と覚えています。朝の七ツ(午前四時)頃に神田の柳原堤(どて)の近所に火事がありましてね。なに、四、五軒焼けで済んだのですが、その辺に知っている家(うち)があったもんですから、薄っ暗いうちに見舞に行って、ちっとばかりおしゃべりをして家へ帰って、あさ湯へ飛び込んで、それからあさ飯を食っていると、もうかれこれ五ツ(午前八時)近くになりましたろう。そこへ八丁堀の槇原と

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(一)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1985(昭和60)年11月20日