はんしちとりものちょう 46 じゅうごやごようじん
半七捕物帳 46 十五夜御用心

冒頭文

一 私はかつて「虚無僧(こむそう)」という二幕の戯曲をかいて、歌舞伎座で上演されたことがある。その虚無僧の宗規や生活については、わたし自身も多少は調べたが、大体はそのむかし半七老人から話して聞かされたことが土台になっているのであった。 虚無僧の話をするついでに、半七老人は虚無僧と普通の僧とに絡(から)んだ一場の探偵物語を聞かせてくれたことがある。老人は先ず本所押上(おしあげ)村につ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(四)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年8月20日