ゆうれいとう
幽霊塔

冒頭文

第一回 ドエライ宝 「有名な幽霊塔が売り物に出たぜ、新聞広告にも見えて居る」 未だ多くの人が噂せぬ中に、直ちに買い取る気を起したのは、検事総長を辞して閑散に世を送って居る叔父丸部朝夫(まるべあさお)である。「アノ様な恐ろしい、アノ様な荒れ果てた屋敷を何故買うか」など人に怪しまれるが夏蝿(うるさ)いとて、誰にも話さず直ぐに余を呼び附けて一切買い受けの任を引き受けろと云われた。余は早速家屋

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 別冊・幻影城 黒岩涙香 幽霊塔・無惨・紳士のゆくえ
  • 幻影城  
  • 1977(昭和52)年12月25日