ゆきのとう
雪の塔

冒頭文

玉雄と照子は兄妹(きょうだい)で毎日仲よく連れ立って、山を越えて向うの学校に通って、帰りも仲よく一所になって帰って来ました。 或る日、二人はいつもの通り学校から手を引き合って、唱歌をうたいながら帰りがけ山道にかかりますと、真暗な空から雪がチラチラ降り出して、見ている内に道が真白になりました。 二人は唱歌を止めて急ぎましたが、雪はだんだん激しくなるばかり。しまいにはあとも先も見え

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1923(大正12)年2月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日