おかしのだいぶとうかい
お菓子の大舞踏会

冒頭文

五郎君はお菓子が好きでしようがありませんでした。御飯も何もたべずにお菓子ばかりたべているので、お父様やお母様は大層心配をして、どうかしてお菓子を食べさせぬようにしたいというので、ある日、家(うち)中にお菓子を一つも無いようにして、砂糖までもどこかへ隠して、いくら五郎さんが泣いてもお菓子を遣らない事にしました。 五郎さんは死ぬ程泣いてお菓子を欲しがりましたが、お父様もお母様も只お叱りになる

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1923(大正12)年3月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日