ルルとミミ
ルルとミミ

冒頭文

むかし、ある国に、水晶のような水が一ぱいに光っている美しい湖がありまして、そのふちに一つの小さな村がありました。そこに住んでいる人たちは親切な人ばかりで、ほんとに楽しい村でした。 けれどもその湖の水が黒く濁(にご)って来ると、この村に何かしら悲しいことがあると云い伝えられておりました。 この村にルルとミミという可愛らしい兄妹(きょうだい)の孤児(みなしご)が居りました。

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1926(大正15)年3~4月

底本

  • 夢野久作全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年5月22日