いなか、の、じけん
いなか、の、じけん

冒頭文

大きな手がかり 村長さんの処の米倉から、白米を四俵(ひょう)盗んで行ったものがある。 あくる朝早く駐在の巡査(おまわり)さんが来て調べたら、俵(たわら)を積んで行ったらしい車の輪のあとが、雨あがりの土にハッキリついていた。そのあとをつけて行くと、町へ出る途中の、とある村外(はず)れの一軒屋の軒下に、その米俵を積んだ車が置いてあって、その横の縁台の上に、頬冠(ほおかぶ)りをした男

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵趣味」「猟奇」1927(昭和2)年7月~1930(昭和5)年1月

底本

  • 夢野久作全集4
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1992(平成4)年9月24日