よがげんぶんいっちのゆらい |
| 余が言文一致の由来 |
冒頭文
言文一致に就いての意見、と、そんな大した研究はまだしてないから、寧ろ一つ懺悔話をしよう。それは、自分が初めて言文一致を書いた由來——も凄まじいが、つまり、文章が書けないから始まつたといふ一伍一什(いちぶしじふ)の顛末さ。 もう何年ばかりになるか知らん、余程前のことだ。何か一つ書いて見たいとは思つたが、元來の文章下手で皆目方角が分らぬ。そこで、坪内先生の許へ行つて、何うしたらよからうかと話して見
文字遣い
旧字旧仮名
初出
底本
- 二葉亭四迷全集第五卷
- 岩波書店
- 1938(昭和13)年1月15日