あかつきとゆうべのうた
暁と夕の詩

冒頭文

Ⅰ 或る風に寄せて おまへのことでいつぱいだつた 西風よ たるんだ唄のうたひやまない 雨の昼に とざした窗のうすあかりに さびしい思ひを噛みながら おぼえてゐた おののきも 顫へも あれは見知らないものたちだ…… 夕ぐれごとに かがやいた方から吹いて来て あれはもう たたまれて 心にかかつてゐる おまへのうたつた とほい調べだ—— 誰がそれを引き出すのだらう 誰が それを忘れ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 立原道造全集 第1卷 詩集Ⅰ
  • 角川書店
  • 1971(昭和46)年6月20日