やさしきうた いち・に
優しき歌 Ⅰ・Ⅱ

冒頭文

優しき歌 Ⅰ 燕の歌 春来にけらし春よ春  まだ白雪の積れども         ——草枕 灰色に ひとりぼつちに 僕の夢にかかつてゐる とほい村よ あの頃 ぎぼうしゆとすげが暮れやすい花を咲き 山羊(やぎ)が啼いて 一日一日 過ぎてゐた やさしい朝でいつぱいであつた—— お聞き 春の空の山なみに お前の知らない雲が焼けてゐる 明るく そして消えながら と

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 立原道造詩集
  • 岩波文庫、岩波書店