[#ここから2字下げ、横書き]SONATINE No.1 はじめてのものに ささやかな地異は そのかたみに灰を降らした この村に ひとしきり灰はかなしい追憶のやうに 音立てて樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきつたその夜 月は明かつたが 私はひとと窓に凭れて語りあつた(その窓からは山の姿が見えた)部屋の隅々に 峡谷のやうに 光とよくひびく笑ひ声が溢れてゐた——人の心を知ることは……人の心と