ちきゅうをねらうもの
地球を狙う者

冒頭文

「火星に近づく」と報ぜられるとき、南洋の一孤島で惨殺された火星研究の老博士、その手になるメモには果して何が秘められていたか? これは世界最大の恐るべき戦慄だ! 父島を南に 「おいボーイ君。この汽船(ふね)は、ガソリンの切符をなくしでもしたのかね」 「え、ガソリンの切符ですって?」 ボーイは、酒壜をのせたアルミの盆をさげたまま、舷側にだらりともたれかかっている僕の顔を呆れたような

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 十八時の音楽浴
  • ハヤカワ文庫、早川書房
  • 1976(昭和51)年1月15日