つきにほえる
月に吠える

冒頭文

序 萩原君。 何と云つても私は君を愛する。さうして室生君を。それは何と云つても素直な優しい愛だ。いつまでもそれは永続するもので、いつでも同じ温かさを保つてゆかれる愛だ。此の三人の生命を通じ、縦(よ)しそこにそれぞれ天稟の相違はあつても、何と云つてもおのづからひとつ流の交感がある。私は君達を思ふ時、いつでも同じ泉の底から更に新らしく湧き出してくる水の清(すず)しさを感ずる。限りなき親

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 現代詩文庫1009 萩原朔太郎
  • 思潮社
  • 1975(昭和50)年10月10日