さっかくじがせつ
錯覚自我説

冒頭文

1 現代においてはすべて形而上的な一切の思想は季節外れである。芸術(特に文学)においても幻想的な、主観的な、浪漫的なものはすでに過去の遺物ででもあるかの如く蔑視されている。 時代の潮流と共に歩調し得ないあらゆる思想や芸術はほろび去るがいい! 来るべき天国への鍵は新興プロレタリアートのみで把握しているのだ。自余のブルジョア的、小ブルジョア的、インテリゲンチャ的の一切は来るべ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 辻潤著作集2 癡人の独語
  • オリオン出版社
  • 1970(昭和45)年1月30日