じぶんだけのせかい
自分だけの世界

冒頭文

これは読者のためではなく寧ろ自分の覚え書きのつもりで書いて置くのである。だが読者にも何等かの参考にならないとも限らない。自分はこの書(自我経)を訳了した時にはなんとなく仕事らしい仕事を片付けたような気がした。他の人から見たらなんでもないことかも知れないが自分だけには意味がありそうに思われたのである。 自分は十年も前に読み始めた本をやっと今頃になって訳了したのである。翻訳の意志は元来此書を

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 辻潤著作集3 浮浪漫語
  • オリオン出版社
  • 1970(昭和45)年3月30日