だみんどうもうご
惰眠洞妄語

冒頭文

1 今のような世の中に生きているというだけで——それだけ考えてみたばかりでも私達は既に値打づけられてしまっているように感じることがある。 昔、堯舜(ぎょうしゅん)の時代というようなそんなものがあったか、なかったか、又この先きユウトピヤとか、ミロクの世の中とかいうものが来るか来ないか、そんなことを何遍繰返して考えてみたところで、私は少くとも今日一日の生命を生きてゆかなければならないこ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 辻潤著作集2 癡人の独語
  • オリオン出版社
  • 1970(昭和45)年1月30日