しんせい |
| 新生 |
冒頭文
序の章 一 「岸本君——僕は僕の近来の生活と思想の断片を君に書いて送ろうと思う。然(しか)し実を言えば何も書く材料は無いのである。黙していて済むことである。君と僕との交誼(まじわり)が深ければ深いほど、黙していた方が順当なのであろう。旧(ふる)い家を去って新しい家に移った僕は懶惰(らんだ)に費す日の多くなったのをよろこぶぐらいなものである。僕には働くということが出来ない。他人の意志の下に働く
文字遣い
新字新仮名
初出
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
底本
- 新生(下)
- 新潮文庫、新潮社
- 1955(昭和30)年5月10日、1970(昭和45)年1月20日20刷改版