ふたりのきょうだい
二人の兄弟

冒頭文

一 榎木(えのき)の実(み) 皆さんは榎木の実を拾ったことがありますか。あの実の落ちて居(い)る木の下へ行ったことがありますか。あの香(こう)ばしい木の実を集めたり食べたりして遊んだことがありますか。 そろそろあの榎木の実が落ちる時分でした。二人の兄弟はそれを拾うのを楽(たのし)みにして、まだあの実が青くて食べられない時分から、早く紅(あか)くなれ早く紅くなれと言って待って居ました

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 赤い鳥傑作集
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1955(昭和30)年6月25日、1974(昭和49)年9月10日29刷改版