きせる
煙管

冒頭文

一 加州(かしゅう)石川郡(ごおり)金沢城の城主、前田斉広(なりひろ)は、参覲中(さんきんちゅう)、江戸城の本丸(ほんまる)へ登城(とじょう)する毎に、必ず愛用の煙管(きせる)を持って行った。当時有名な煙管商、住吉屋七兵衛(すみよしやしちべえ)の手に成った、金無垢地(きんむくじ)に、剣梅鉢(けんうめばち)の紋(もん)ぢらしと云う、数寄(すき)を凝(こ)らした煙管(きせる)である。

文字遣い

新字新仮名

初出

「新小説」1916(大正5)年11月

底本

  • 芥川龍之介全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1986(昭和61)年9月24日