ちいさいこども
小さい子供

冒頭文

小寒に入った等とは到底思われない程穏かな好い日なので珍らしく一番小さい弟を連れて植物園へ行って見ました。 風が大嫌いで、どんな土砂降りでもまだ雨の方が好いと云って居る程の私なので今日の鎮まった柔かな日差しがそよりともしずに流れて居るのがどの位嬉しいか知れなかったのです。 植物園とさえ云えばいつも思い出す多勢の画板を持った人達とそこいら中にだらしなく紙だの果物の皮等を取り乱して食

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日

底本

  • 宮本百合子全集 第二十九巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年12月25日