おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲

冒頭文

一 月に一二度は欠かさず寄こすお久美さんの手紙は、いつもいつも辛そうな悲しい事許り知らせて来るので蕙子は今度K村へ行ったら早速会って話もよく聞いて見なければと思って来は来たのだけれ共、其の人の世話になって居る家の主婦のお関を想うと行く足も渋って、待たれて居るのを知りながら一日一日と訪ねるのを延ばして居た。 書斎にしてある一番奥の広い部屋の廊下に立って見ると、瑞々しい稲田や玉蜀黍等の

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

底本

  • 宮本百合子全集 第二十九巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年12月25日