にじゅうさんばんち
二十三番地

冒頭文

暫く明いて居た裏の家へ到々人が来て仕舞った。 子供達の遊び場になって居る広っぱに面して建って居る家だから、別にどうと云う程の事もなさそうなものだけれ共、やっぱり有難迷惑な、聞きたくもない兄弟喧嘩の泣声をきかされたり、うっかり垣根際(ぎわ)に寄る事も遠慮しなけりゃあならないしするから、裏が明いて居た内は家中の者がのうのうとして居た。 場末の御かげでかなり広い地所を取って、めったに

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日

底本

  • 宮本百合子全集 第二十九巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年12月25日初版