そうもくとう
草木塔

冒頭文

若うして死をいそぎたまへる 母上の霊前に 本書を供へまつる 鉢の子 大正十四年二月、いよいよ出家得度して、肥後の片田舎なる味取観音堂守となつたが、それはまことに山林独住の、しづかといへばしづかな、さびしいと思へばさびしい生活であつた。 松はみな枝垂れて南無観世音 松風に明け暮れの鐘撞いて ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いてゐる 大正十五

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 現代日本文學大系 95 現代句集
  • 筑摩書房
  • 1973(昭和48)年9月25日