シャロットのようき
シャロットの妖姫

冒頭文

其の一 河の両辺に横はる 大麦及びライ麦の長やかなる畑地 此の畑 岡を覆ひ 又 空に接す さて 此の畑を貫いて 道は走る    多楼台のカメロット城へ さて 上にまた下に 人は行く うちながめつゝ 蓮咲くあたりを 島根に添うて かなた下手の    シャロットの島といふ 垂柳はしろみ 白楊は顫ふ そよ風は黒みてそよぐ とこしなへに流れゆく河浪のうちに 河心の島根に添うて

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • ユリイカ 九月号 第23巻第10号
  • 青土社
  • 1991(平成3)年9月1日