きょうふじょう
恐怖城

冒頭文

第一章       1 森谷牧場(もりやぼくじょう)の無蓋(むがい)二輪の箱馬車は放牧場のコンクリートの門を出ると、高原地帯の新道路を一直線に走っていった。馬車には森谷家の令嬢の紀久子(きくこ)と、その婚約者の松田敬二郎(まつだけいじろう)とが乗っていた。松田敬二郎が牧場の用事で真駒内(まこまない)の種畜場へ出かけるのを、令嬢の紀久子が市街地まで送っていくのだった。 空は孔雀青(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 恐怖城 他5編
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1995(平成7)年8月10日