にほんさんがくけいのとくしょく |
日本山岳景の特色 |
冒頭文
私たちが学生旅行をした時代には、日本の名山と言えば、殆んど火山に限られたように思われていた、富士山にさえ登り得らるれば、あとはみんな、それよりも低く、浅く、小さい山であるから、造作はないぐらいに考えていた、そのころ、今日でいう日本アルプス系の大山嶺で、私が名を知っていたものは、立山御嶽などいう火山の外には、木曾の駒ヶ岳(大部分黒雲母花崗岩より成る)ぐらいなものであった、いま憶い出しても笑わずにはい
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 山岳紀行文集 日本アルプス
- 岩波文庫、岩波書店
- 1992(平成4)年7月16日