やむこのまつり
病む子の祭

冒頭文

母 長男 長女 次男 三男(病気の子) 岡(おか)のふもとの竹やぶにかこまれた小さい家。 母親が子どもたちに祭の晴着(はれぎ)をきせている。 花火の音。笛、太鼓(たいこ)のゆるやかな、かすかなはやし。 母   よごすんじゃないよ。いつもの着物とちがうんだからね、土塀(どべい)にもたれたり、土いじりしちゃいけないんだよ。それから、袖(そで)ではなをふいたりしないで

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 牛をつないだ椿の木
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年2月20日