てぶくろをかいに
手袋を買いに

冒頭文

寒い冬が北方から、狐(きつね)の親子の棲(す)んでいる森へもやって来ました。 或朝(あるあさ)洞穴(ほらあな)から子供の狐が出ようとしましたが、 「あっ」と叫んで眼(め)を抑(おさ)えながら母さん狐のところへころげて来ました。 「母ちゃん、眼に何か刺さった、ぬいて頂戴(ちょうだい)早く早く」と言いました。 母さん狐がびっくりして、あわてふためきながら、眼を抑えている子供の手

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新美南吉童話集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1996(平成8)年7月16日