かわ

冒頭文

一 四人が川のふちまできたとき、いままでだまってついてくるようなふうだった薬屋(くすりや)の子の音次郎(おとじろう)君が、ポケットから大きなかきをひとつとり出して、こういった。 「川の中にいちばん長くはいっていたものに、これやるよ」 それを聞いた三人は、べつだんおどろかなかった。だまりんぼの薬屋の音次郎君は、きみょうな少年で、ときどきくちをきると、そのときみなで話しあっていること

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 牛をつないだ椿の木
  • 角川文庫、角川書店
  • 1968(昭和43)年2月20日