一 四人が川のふちまできたとき、いままでだまってついてくるようなふうだった薬屋(くすりや)の子の音次郎(おとじろう)君が、ポケットから大きなかきをひとつとり出して、こういった。 「川の中にいちばん長くはいっていたものに、これやるよ」 それを聞いた三人は、べつだんおどろかなかった。だまりんぼの薬屋の音次郎君は、きみょうな少年で、ときどきくちをきると、そのときみなで話しあっていること