さんげつき
山月記

冒頭文

隴西(ろうさい)の李徴(りちょう)は博学才穎(さいえい)、天宝の末年、若くして名を虎榜(こぼう)に連ね、ついで江南尉(こうなんい)に補せられたが、性、狷介(けんかい)、自(みずか)ら恃(たの)むところ頗(すこぶ)る厚く、賤吏(せんり)に甘んずるを潔(いさぎよ)しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山(こざん)、虢略(かくりゃく)に帰臥(きが)し、人と交(まじわり)を絶って、ひたすら詩作に

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 李陵・山月記
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1969(昭和44)年9月20日、1989(平成元)年6月10日第43刷改版