おもと
万年青

冒頭文

福子は笑い上戸(じょうご)で通っていた。睫毛(まつげ)のふかいパッチリと見開いた丸っこい眼(め)が、みるみる三日月になってクツクツと笑いだす。そばにいるものまで、つい、つりこまれて笑い出す始末だった。 「まあ、福子さんたら、何がそんなに可笑(おか)しいの?」 つりこまれて一緒に笑い出した友だちが、しまいにはおなかを痛くして、わけもなしに肚(はら)を立てて、こう恨(うら)みがましく福子を責めること

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人日本」毎日新聞社、1942(昭和17)年

底本

  • 百年文庫49 膳
  • ポプラ社
  • 2010(平成22)年10月12日