かきふらい
蠣フライ

冒頭文

汽車が、国府津を出た頃、健作は食堂へは入(い)つて行つた。寝るまでの中途半端の時間なので、客は十四五人もあちらの卓(テーブル)や此方の卓(テーブル)に散在してゐた。大抵は、二三人づれでビールや日本酒を飲んでゐた。健作は、晩飯を喰つてゐないので、ビフテキとチキン・ライスを註文した。 健作は、チキン・ライスを喰つてしまつてから、ふと気がついたのだが、健作が坐つてゐる席とは一番遠い端に、此方へ背を向

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文藝春秋」1927(昭和2)年1月号

底本

  • 菊池寛全集 第三巻
  • 高松市菊池寛記念館
  • 1994(平成6)年1月15日