やくばらい
厄払い

冒頭文

正兵衛といえるはこの村にて豪家(ものもち)の一人に数えらるる程の農民なるが、今しも三陸海嘯(かいしょう)の義捐金(ぎえんきん)を集めんとて村役場の助役は来(きた)りつつ、刀豆(なたまめ)を植えたる畑の中に正兵衛を見つけて立ちながら話す。 それでは東北に大海嘯(おおつなみ)があったため三万の人が亡くなったというのだね、まあまあ近辺でなくて僥倖(しあわせ)だった、何百里とあるのだから、とんとさし

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝倶樂部 第二巻第九編臨時増刊 海嘯義捐小説」博文館、1896(明治29)年7月25日

底本

  • 天変動く 大震災と作家たち
  • インパクト出版会
  • 2011(平成23)年9月11日