ランプのいろいろ
ランプのいろいろ

冒頭文

一 わずか数十年前の夜と今の夜とを比べると、正に夜と昼ほどの相違である。博覧会のイルミネーションを観て昔の行灯(あんどん)時代の事を想えば、今更のように灯火の進歩に驚かれる。 瓦斯灯(ガスとう)でも従来の魚尾形をした裸火はだんだんにすたれて、白熱瓦斯、すなわちウェルスバッハ・マントルに圧倒されて来た。今日では場末の荒物屋芋屋でもこれを使っている。あのいわゆるマントルは布片にソリウム及びセリウ

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1907(明治40)年7月15日・16日

底本

  • 寺田寅彦全集 第十二巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年11月21日