ゆきのはなし
雪の話

冒頭文

雪の降るのを飛絮(ひじょ)の如しとか鵞毛(がもう)の如しとか形容するは面白いが科学的ではない。 雪の形 試みに降る雪の一片を帽子なり袖なりに受けて細かに験査して見れば、綿や毛のようなものではない規則正しい六稜形の結晶を成している事がわかる。肉眼ではこれ以上の事は分りかねるが、一度顕微鏡下に照らしてこの小さい雪片を見れば誰しもその美しさに驚かぬ人はあるまい。いずれも六稜あるいは稀に三角形の氷の

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1908(明治41)年4月10日

底本

  • 寺田寅彦全集 第十二巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年11月21日