すもうとりきがく
相撲と力学

冒頭文

力学というのは物体に作用する力の釣り合いや力の作用によって起る物体の運動を数学的に論ずる六かしい学問である。天地万有が活きて動いて変化している間はこの力学の応用はあらゆる学術技芸に一日も欠く事は出来ぬ。相撲は人間の体力の活技で、一方から見れば霊妙な複雑な器械の戦いである、いずれにしても運用する力はいわゆる器械力で、力の作用する目的物は質量を有する物体だから、やはり相撲も力学の広い縄張の中へ入れても

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1908(明治41)年5月28日

底本

  • 寺田寅彦全集 第十二巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年11月21日