ぺんくらぶとげいじゅついん
ペンクラブと芸術院

冒頭文

今秋ペンクラブの世界的大会が日本で開催されるのである。それについて、私は昔の微々たるペンクラブ発生の頃を思出した。私は島崎藤村逝去後にペンクラブの会長に推薦され、終戦まで一年ばかりその名誉ある地位に身を置いていたのである。私が会長になるなんて可笑しな事なんだが、確かに会長であった。会員中の有力者が会合のたびに会の運転について意見を述べて、私は殆ど盲従していたのに過ぎず、甚だ権威が無かったが、兎に角

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第五十四巻第七号」新潮社、1957(昭和32)年7月1日

底本

  • 今年の秋
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1980(昭和55)年9月10日