がくせいじだいのくめまさお
学生時代の久米正雄

冒頭文

高等学校に入学すると間もなく教室で、自分の机の直ぐ傍に顔のやゝ赤い溌剌たる青年を見附けた、その青年はASAKAと云ふ字を染めぬいた野球のユニホームを着て居たので、少からず我々を駭(おどろ)かしもすれば、笑はせもしたものだ、さうした稚気がその頃の久米には可なりあつた。其処がまた久米の可愛い所ではあつたが。 間もなく久米はそのユニホームを脱いだ事は脱いだが、そのユニホームのお蔭で二三度野球部の選手

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮」1918(大正7)年9月

底本

  • 菊池寛全集 補巻
  • 武蔵野書房
  • 1999(平成11)年2月10日