きんぎんのいしょう
金銀の衣裳

冒頭文

昔或る処に貧乏な母娘(おやこ)がありました、お父様は早くになくなつて今はお母様と娘のお玉と二人切(きり)でしたが何(なに)しろ貧乏なので其日其日(そのひそのひ)の喰べるものもありません、只(ただ)お母様が毎日毎日他所(よそ)へ行つて着物の洗(すす)ぎ洗濯や針仕事をしていくらかの賃金を貰つて来てやつと細(ほそ)い煙を立てゝ居(を)りました。処が此(この)お玉と云ふ娘は生れ付きまことに縹緻(きりやう)

文字遣い

新字旧仮名

初出

「九州日報」1919(大正8)年6月30日

底本

  • 定本 夢野久作全集 全8巻 6
  • 国書刊行会
  • 2019(令和元)年5月24日