なつすがた |
| 夏すがた |
冒頭文
一 日頃懇意の仲買にすすめられて云わば義理ずくで半口(はんくち)乗った地所の売買が意外の大当り、慶三(けいぞう)はその儲(もうけ)の半分で手堅い会社の株券を買い、残る半分で馴染の芸者を引かした。 慶三は古くから小川町辺に名を知られた唐物屋(とうぶつや)の二代目の主人、年はもう四十に近い。商業学校の出身で父の生きていた時分には家にばかり居るよりも少しは世間を見るが肝腎と一時横浜の外国商館へ月給
文字遣い
新字新仮名
初出
「夏すがた」籾山書店、1915(大正4)年1月20日
底本
- 花火・来訪者 他十一篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 2019(令和元)年6月14日