しゅくはい
祝盃

冒頭文

久野(くの)の家を出た三人は、三丁目から切通しの方へ、ブラ〳〵歩いていた。五六年前、彼等が、一高にいたときは、この通を、もっと活溌(プリスク)な歩調でいくたび散歩したか分らなかった。 その時は、啓吉も久野も、今度久しぶりで、ヒョックリ上京して来た青木も、銘々それ〴〵に意気軒昂たるものであった。その中でも、青木が一番自信を持っていた。その天才的な態度や行動のために、みんなからも一番輝く未来を持つ

文字遣い

新字新仮名

初出

「電氣と文藝」1920(大正9)年9月号

底本

  • 菊池寛文學全集 第三巻
  • 文藝春秋新社
  • 1960(昭和35)年5月20日