かみのごとくよわし
神の如く弱し

冒頭文

一 雄吉は、親友の河野が、二年越の恋愛事件以来——それは、失恋事件と云ってもよい程、失恋の方が主になって居た——事々に気が弱くてダラシがなく、未練がじめ〳〵と何時も続いて居て、男らしい点の少しもないのがはがゆくて堪らなかった。 河野の愛には報いないで、人もあろうに、河野には無二の親友であった高田に、心を移して行った令嬢や、又河野に対する軽い口約束を破ってまで、それを黙許した令嬢の母のS未亡人

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」1920(大正9)年1月号

底本

  • 菊池寛文學全集 第三巻
  • 文藝春秋新社
  • 1960(昭和35)年5月20日