ようかん |
| 羊羹 |
冒頭文
新太郎はもみじという銀座裏の小料理屋に雇われて料理方の見習をしている中(うち)、徴兵にとられ二年たって帰って来た。しかし統制後の世の中一帯、銀座界隈の景況はすっかり変っていた。 仕込にする物が足りないため、東京中の飲食店で毎日滞りなく客を迎えることのできる家は一軒もない。もみじでは表向(おもてむき)休業という札を下げ、ないないで顔馴染のお客とその紹介で来る人だけを迎えることにしていたが、それで
文字遣い
新字新仮名
初出
「勲章」扶桑書房、1947(昭和22)年5月10日
底本
- 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 2019(令和元)年8月20日