ささめゆきぼうひょう |
| 細雪妄評 |
冒頭文
小説の巧拙を論ずるには篇中の人物がよく躍如としているか否(いな)かを見て、これを言えば概して間違いはない。 人物の躍如としているものは必ず傑作である。人物が躍如としていれば、その作は読後長く読者の心に印象を留める力がある。作者はその人物を空想より得来ったか、或(あるい)はモデルによろしきを得たか否かは、深くこれを追究するに及ばない。 谷崎君の長篇小説「細雪」は未完ではあるが、既に公刊せられ
文字遣い
新字新仮名
初出
「中央公論 第六十二年第十一号」中央公論社、1947(昭和22)年11月1日
底本
- 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
- 岩波文庫、岩波書店
- 2019(令和元)年8月20日